デンマークのデジタル化管理に寄せられる批判

北欧デンマーク通信

デンマークの教育や生活、働き方、制度やデンマーク人の考え方について

こんにちは!デンマーク公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーターのウィンザー庸子です。

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デンマークの人口は約580万人で、これは兵庫県の人口規模とほぼ同じとなっています。ちなみに、コペンハーゲン市の人口は市内が約65万人、市外の住宅地なども入れたコペンハーゲン圏では約130万人で、これは神戸市の人口規模に匹敵します。国土の大きさは九州くらいです。

我が家には、デンマーク人の主人、デンマーク人でもあり日本人でもある、中学校1年生と、4年生の男子2人と、1歳のちょうどお誕生日の日から保育園に入った3歳の女子1人と、日本人の私がいます。

そこで私たちがデンマークで生活する中で感じる、デンマークの教育や、仕事や、生活や制度、デンマーク人の考え方について、お話したいと思います。

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デンマークのデジタル化管理に寄せられる批判

デンマークのデジタル化の肝となる、ネムコント制度は、公的機関と銀行口座を紐づけして口座の詳細を尋ねることなく公的機関や職場との支払いを可能する制度です。デンマークに住む全ての個人や企業が、自分の銀行口座を一つネムコントに指定することが義務付けられています。

このネムコント制度では、個人を特定する為に、マイナンバー、パスワード、および乱数表から構成されるネムIDが使われます。

しかし、ネムコント制度が過去5年間不正使用されていたことがデジタル化庁の文書から分かり、今問題となっています。犯罪は、市民のネムコントを本人の知らない所で勝手に別の銀行口座に移すことによって行われます。そうすると、その市民の年金、給与、ローンなどは別の口座に振り込まれてしまいます。

2016年初頭から、30回以上の警告が、具体的な犯罪例を伴って、警察、税務署、金融機関協会、市民、犠牲者の関係者といった14か所から、デジタル化庁に寄せられていましたが、犯罪を未然に防ぐのに十分な対策は取られてきませんでした。ある犯罪例では、半年間に12回もネムコントにしてされた銀行口座が変更されていました。

コペンハーゲン郊外のヘアニングに住む作業療法士のリーネ氏は、犠牲者の一人です。2020年3月初めに、給与が振り込まれていないことに気付きました。リーネ氏の銀行は、ネムコントのホームぺージを確認するように勧めました。そして、ネムコントが変えられていることが分かりました。リーネ氏は、ネムコントが変更されたことに関して、何の通知も受けていませんでした。

デジタル化を専門とするロスキレ大学のヤン・プリース・ヘイエ教授は、「ネムコントを持つことは法律で規定されており、解約することができないだけに、デジタル化庁が状況を把握しながらも犯罪が起こりうる状況を放置してきたことは受け入れられません。」と述べます。

デジタル化庁は、今後ネムコントシステムが別のシステムに移行されるにあたって、寄せられた警告を基に犯罪を未然に防ぐ方策を取ると回答していますが、行政法を専門とする南デンマーク大学のフレデリック・ウォーエ教授は、新しいシステムが導入されるまで待つという対応を批判しています。「ネムコントのようなITシステムの安全性に対する警告を何度も受けた場合、即時対応する義務があります。」

デジタル化庁のアダム・レベック副長官は、ネムコントを不正使用する犯罪を防げるような技術的な解決法が見つけられるならば、すぐに導入すると回答していますが、実施には至っていません。

ネムコントは市民に対して1つに限られています。しかし、そのネムコントを何人が共有するかは、全く規定されておらず、ネムコントに指定した銀行口座が本人のものでなくても構わないのが現状です。ここに犯罪が生まれる土壌があり、受け入れられない点であると上述のヤン教授は述べます。「次のシステムが導入されるのには5.6年かかるのに、それまで対応策を取らない状況は、デジタルシステムへの市民の信頼を損なっています。技術的に、対応策は複雑なものではないはずです。」

この問題に対して、アダム・レベック副長官は、「市民がネムコントに指定する銀行口座を選べなくなってしまったら、利便性が損なわれてしまいます。例えば多くの夫婦が同じネムコントを共有して使っています。」と述べます。

2018年に金融機関協会であるフィナンス・デンマークは、ある犯罪例を挙げてデジタル化庁に警告を送付しています。その犯罪例では、ネムコントに指定された銀行国座が、100人以上によって使われていたというものでした。そしてデジタル化庁に寄せられた警告の多くには、犯罪を防ぐ対策に関する提案も含まれていました。しかし、2017年、デジタル化庁は新しいシステムを導入するまでは、抜本的な対策を取らないことを決定していたことが文書に残っています。しかしその新システムは、最初の警告から5年経った今も、まだ導入されていません。

上述のリーネ氏は、幸いにも再度今度は自分の口座に給与を再送金してもらうことができました。しかし、ネムコントが勝手に変更されたことは、問題の一つに過ぎません。犯罪者は、リーネ氏のネムIDを取得していたことが大きな問題です。リーネ氏は、給与が振り込まれていないことに気付くまで、それを知る術がありませんでした。

犯罪者は、リーネ氏の銀行口座に取得したネムIDを使って入り込み、多額を別の口座に送金して盗み、リーネ氏の名前で借金をし、買い物もしていました。リーネ氏は、その返済義務の免責を求めて今も大変な作業に追われています。リーネ氏は、「とても不安です。自分に何の力もないように感じます。」と述べています。

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2003年からデンマークに在住の公認ライセンスガイド・通訳・コーディネーター&主婦で3人の母親の、

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